心リハ指導士への道「心臓手術における術後管理」

医療者向け

心リハ指導士の試験ですが、公式の過去問も問題集もありません!!

試験勉強するには日本心臓リハビリテーション学会が出版している、
2022年増補改訂版 指導士資格認定試験準拠 心臓リハビリテーション必携

https://www.jacr.jp/impor/reference/

全385ページを読むしかありません!!(さらにガイドラインなどからも出題があります….)

そうなるとあまりにも大変ですし、日々の臨床業務プライベートを多大に犠牲にしなければいけなくなります…。

そこで、このシリーズは「心リハ指導士への道」と称して私が心リハ指導士の資格を得るために勉強したことをわかりやすくまとめたものとなっています!!
 どの投稿から見てもいいようにあえてナンバリングはしていません!!タイトル冒頭の「心リハ指導士への道」を目印に興味のある投稿から読んでいただければと思います!!

それでは今回は「心臓手術における術後管理」について一緒に勉強していきましょう!!

ICUでの術後管

手術様式および手術侵襲の程度の把握が重要です!!

  1. 手術時間、出血量・輸血の有無、挿管呼吸管理時間、心不全の有無・程度(肺水腫の程度)
  2. (冠動脈バイパス術なら)冠動脈の血行再建がどの程度か(完全or不完全)
     →不完全なら安静度・負荷量増大させるときに注意!!
  3. (弁逆流症なら)弁逆流が完全消失or残存、人工弁は生体弁or機械弁
  4. (弁狭窄症なら)術後圧較差の程度
  5. 開胸手術となったか(呼吸機能に影響)
生体弁機械弁
特徴・血行動態:生体弁≒自然弁
・長期耐久性:低
・合併症:術後後期に多い
・耐久性:高
・血栓形成リスク大
・合併症:術後早期に多い
適応・三尖弁置換
・妊娠を希望する女性
・くも膜下出血リスク大
・内服コンプライアンス低
術後抗凝固薬法術後3~6ヶ月:ワーファリン
以降:抗血小板薬のみ
生涯:ワーファリン

一般病棟での術後管理

心臓手術関連合併症

1.創部疼痛
 →積極的に鎮痛剤を使用(→疼痛によるストレスなどの軽減、喀痰の促進)
2.無気肺、肺炎
3.不整脈
 頻脈、心房細動
 心室頻拍、心室細動
 →致死性不整脈は即座に薬物治療、除細動を使用(→術後の心臓は易刺激性のため)
4.心電図異常
5.血栓・塞栓症
6.出血
7.心嚢液貯留、心タンポナーデ
8.創部感染(縦隔炎、敗血症)

虚血性心疾患、冠動脈バイパス術

人工心肺を使用しないoff-pump coronary artery bypass grafting(OPCAB)はon-pump手術と比べ

  • 手術難易度↑
  • 運動耐容能↓が少ない。術後回復も早い。運動療法の開始も早い。
    →術後3~7日で心肺運動負荷試験(CPX)を実施することもある。

僧帽弁膜症

リウマチ性の場合、罹患歴が長期のため、慢性心不全となっており弁置換術後も血行動態↑しても、末梢機能↓が顕著
→リハビリテーションが重要となってくる!!

大動脈弁膜症

大動脈弁狭窄症(AS)では、術前に左室肥大があり左室内腔が狭いため、
弁置換術後に後負荷が急激に↓となることで、頻脈がみられることがある
→β遮断薬を使用していることが多い!!

退院後の術後管理

疾患による相違

心筋梗塞バイパス術弁膜症術後慢性心不全
罹病期間短い比較的短い長い長い
ディコンディショニング軽度中等度重度重度
心不全の頻度やや多い少ない多い全症例
心房細動(af)例普通術後早期は多い多いやや多い
AT(手術・発症前)正常ほぼ正常低下低下
心機能低下不変~改善改善不変
リハへの積極性積極的積極的消極的消極的
目標再発予防再発予防
グラフト開存
心不全改善
運動機能改善
心不全改善
運動機能改善
留意点リモデリング
虚血・不整脈
手術創
虚血・不整脈
手術創・感染
抗凝固療法
心機能悪化
不整脈
疾患別リハビリテーションプログラムの特徴

感染性心内膜炎の予防

人工弁置換術後患者は、特に重篤な感染性心内膜炎が生じる可能性が高い!!
→感染性心内膜炎は、他の合併症の併発や死亡率が高いため予防が重要です!!

【予防法】特に原因となる手技・処置・病態→歯科治療、う歯(虫歯)などの口腔内の処置・病態です

これらを避けるため日常的に口腔内の清潔を保つことが重要です!!

ワーファリン使用上の注意

人工弁置換術後&僧帽弁形成術後(3ヶ月未満)の症例には、ワーファリン投与し抗凝固療法を実施する

ガイドラインでは、機械弁への置換術後はPT-INR2.0~3.0に調整が必要とされている!!
(大動脈弁置換の二葉弁orMedtronic Hall弁はPT-INR2.0~2.5で調整!!)

ワーファリンはビタミンKにより抗凝固作用が大きく↓するため、しっかり指導する必要があります!!
(ビタミンKが多い食材:納豆、緑野菜(特にパセリ))

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